スペイン在住者インタビュー第2弾をお送りします。今回はセビージャ(セビリア)在住のmoniさん。moniさんは千葉県出身で早稲田大学を出てから、通信会社の営業職を10年経験した後に、フラメンコを学びにスペインへ。

 

日本でもフラメンコを10年以上の経験を持ちながらも、スペインでフラメンコを学ぶ、その理由とは?そして、インタビューしていくうちに明かされる、日本人が知らない「フラメンコ」の魅力とは?

 

前編・後編のインタビュー、前編はこれまでの経歴と、フラメンコへの愛をお伺いしました。

 

※ ご本人のご意向で顔は映さないように写真を撮っています。

 

スポンサード リンク

はじめてみたときに心がざわついた。フラメンコの深さに魅了されスペインへ

浦川:本日はよろしくお願いします。まず、moniさんがフラメンコを始めたきっかけから教えてもらえますか?

 

moni:はい。私は大学生のときにフラメンコを始めました。大学ではフラメンコサークルがあったんです。高校生のときにダンス部に入ってまして、ダンスを真剣に取り組んでいたため、その名残から大学でも真剣に取り組めるサークルに入りたいと思っていました。

 

入学してからフラメンコサークルの新歓ライブに行ったときに、「フィンデフィエスタ(Fin de fiesta/タブラオなどで最後に行われるもの)」で、「ブレリア(BULERÍA/曲種のひとつ)」をやっているのを見て、心がざわざわしたのを覚えています。それが印象的で、フラメンコサークルに入りました。

 

浦川:そこをきっかけにフラメンコを長く続けてきたのですね。

 

moni:そうなんです。サークルだけじゃなくて大学4年生のころから、日本人の先生のところに通っていました。といっても、長く趣味としてフラメンコを続けていた感じです。

 

実は日本って、フラメンコ大国なんですよ。スペインよりも日本の方が教室の数が多いくらいで、たくさんのスペイン人が日本にやってきます。日本にやってくるスペイン人のフラメンコに、日を重ねるごとに徐々に触れるようになってきました。

 

そうすると、クルシージョ(Cursillo/短期講習会)に行ってみたくなったのです。もう少しフラメンコをきちんと勉強したいなと思うようになって…。

そんな影響からスペインにも行ってみたいなと、思うようになりました。ちなみに、これは社会人になって仕事にも慣れてきた4年目・5年目ごろの話です。

 

浦川:スペインでスペイン人の舞台を見た、はじめての印象はどうでしたか?

 

moni:実は大学の卒業旅行でスペインのセビージャに来たことがあります。(笑)

そのときに、セビージャのフラメンコをはじめて見たのですけど、やっぱりはじめて見たときの印象と、社会人になってフラメンコを真剣に習いはじめたときの印象には違いがありました。

 

浦川:具体的にはどのような印象だったのですか?

 

moni:大学生の頃にセビージャでフラメンコを見た時は、「わー!スペイン人の本物のフラメンコだー!」て、何も考えずに思ってました。

「おお!踊ってる!」

「サパテアード(Zapateado/足を踏み鳴らす動作の名前)がすごいな!」

「クエルポ(Cuerpo/体・胴)が美しくて素敵だな!」

みたいな。(笑)

 

でも、社会人になってフラメンコを本格的に習い始めたせいもあって、フラメンコの深いところまで意識するようになりましたね。

 

フラメンコというのは、昔から家族の中で育てられたものであったりするので、家族とか気のしれた仲間との間で生まれる、公演とかで準備されたフラメンコとは違うものがあるなと感じましたね。

 

私はどういうフラメンコが好きなのか、フラメンコを勉強していく上で何を大切にしたいのか、を考えるようになって、自分が好きなフラメンコを追求していきたいなと思うようになりました。

 

 

歌こそフラメンコの真髄。私は「フラメンコ感」を大切にするフラメンコが好き

浦川:moniさんが思う、良いフラメンコや好きなフラメンコとは何でしょうか?

 

moni:んー。バイレフラメンコ(Baile flamenco/フラメンコ舞踊)という視点で話をすると、カンテ(歌)に対してどのように呼応しているかどうかでしょうか。

 

昔の私がフラメンコに対して思っていたことは、舞踊的に優れている=素晴らしいだったんです。でも、フラメンコって歌から生まれたと言われていて、そこにギターが付いて、最後に踊りの要素が来たと言われています。ですから、昔の私はカンテに対しての呼応について、あまり意識していませんでした。

 

フラメンコのカンテの素晴らしさを感じるきっかけになったのは、日本であるカンタオーラ(Cantaora/女性の歌い手)短期講習会に参加したときです。

カンタオーラの歌を聴いて、「ああ!これがフラメンコの歌なんだ〜!」って感じたのを覚えています。

 

確かに(昔から)先生たちが「フラメンコは歌が重要なんですよ」と言っていたけど、それまでの私は、歌になんとなく踊りを合わせていればいいのかなと思っていました。でも、カンタオーラの歌を聴いてから、その考えが変わったのです。カンテこそフラメンコの真髄なんだな、と。

 

例えば、バイレフラメンコの場合、カンテに対してどのように呼応するかが重要だと思っていて、そこに、その人自身のフラメンコに対する向き合い方のような、、、フラメンコ感が見えるような気がします。

 

んー、分かりますか?この感じ?(笑)

 

浦川:はい。(笑)私もセビージャでフラメンコを見てきたばかりだったので、何となくですが、言いたいこと分かります。

 

→ スペイン・セビージャ(セビリア)の「Casa del Flamenco」ではじめてフラメンコを観てきた

スポンサード リンク

 

moni: バイレフラメンコについてもう少し言及すると、私はコンパス(Compás/リズム)を大切にしていて、カンテに呼応した踊りをするバイラオールやバイラオーラが好きです。

 

例えば、バイレの中でカンテをよく聴いて、マルカへ(Marcaje/コンパスを感じて動くこと)する瞬間や、アグアンタール(Aguantar/耐える)する瞬間に、フラメンコらしさのようなものを感じます。

 

カンテのあいだに、パソ(Paso/ステップ)を詰め込もうと思えば、いくらでも詰めこめると思います。でも、カンタオールが声を振り絞って歌っているのに、ガタガタガタガタ足を踏み鳴らして激しく踊っているのは、違うかなと私は思います。

ときには我慢しながら歌に呼応して動くのが、バイレフラメンコだと思います。つまり、ダンスミュージックではないと思いますね。

 

それと、コンパスはフラメンコにおいて、最も重要だと思っていて、コンパスがなければフラメンコではないです。※ コンパスは12拍子、4拍子などの1単位のこと

 

でも、このコンパスはすぐに身につくものではないので、特に外国人である私たちは、まず、このコンパスをしっかりと理解して、それを自然に感じることができるように努力する必要があると思います。この努力は途方もなく、一生かけて勉強していく意気込みです・・・。

 

 

フラメンコは人生そのもの。私はここでしか見られないフラメンコをずっとみていたい

浦川:いやー。面白いですね! 歴が長いだけあってフラメンコへの想いが素敵です。ひとつ質問なんですが、moniさんが思うセビージャのフラメンコの魅力とはなんでしょうか?

 

moni:フラメンコって舞台上のものだけではなくて、フィエスタ(fiesta/宴会のようなもの)などで、自然に生まれるものもがあります。

 

浦川:フラメンコが自然に生まれる?

 

moni:そうです。例えば、家族や親戚が集まる場だったり、何かの打ち上げだったり、時にはバルで飲んでるときに、誰からともなく歌い始めたりします。机の上でコンパスをとったり、パルマ(Palma/手拍子)を始めるような瞬間があるのです。

 

(moniさんが、テーブルの端をトントンと叩きはじめる)

 

そうすると、それに反応するように周りの人たちがさらに歌い出したり、ギターを弾き出したり、踊り始めたりする。その自然なフラメンコが、わたしはたまらなく好きなんです。

 

セビージャに住んでいるからと言って、そう簡単に見られるものではないので、私も何回かしか見たことはないのですけど、それがフラメンコの魅力だと思います。

 

舞台芸術というのは準備されているものが多いと思います。でも、自然にフラメンコが生まれる、あの瞬間がほんとに、たまらないです!

 

※ moniさんがおっしゃる「フラメンコが自然に生まれる」瞬間を表す動画

浦川:ほう〜!なるほど。ということは、日本ではそのようなフィエスタや自然に生まれるフラメンコを見るは難しい?

 

moni:日本ではそのような瞬間を見るのは難しいと思います。だって、フラメンコが好きな人たちにとって、フラメンコは人生そのものなんです。生まれたときから生活の中にフラメンコがあって、それをずっとやってきたわけじゃないですか?

日本ではそのような環境がないので、こちらで見るようなフィエスタを日本で見るのは難しいと思います。

 

例えば、セビージャの近くにあるヘレス・デ・ラ・フロンテーラという街は、ブレリアが生まれた街の一つと言われています。

そのヘレスの子どもたちって、両親がアーティストじゃなくても、子どもが家に返ってきたら、手を叩いてコンパスをとって踊らせていたりするので、アカデミア(Academia/学校・スクール)で習ったわけじゃないのに、3歳・4歳で自然で素敵なブレリアを踊ったりするんです。

 

※ ヘレスの子どもたちが踊る様子

 

日本ではそのような場面を見ることは難しいと思います。私はセビージャに来たからこそ、そう感じました。

大げさかもしれないけれど、フラメンコは人生そのもの。私が好きなマエストロたちは、普通に喋るかのように今までフラメンコをやってきたんです。

 

浦川:なるほど。だからセビージャという土地にいらっしゃるのですね。

 

moni:そうなんです。セビージャやアンダルシア地方という土地じゃないと分からない。そこでしか見られないから。

ここの土地で生まれた、そのとき、そのタイミングで生まれた、誰も用意していない、自然なフラメンコが好きなんです。

 

だから、私はそれを近くで見たいし、そのようなルーツのあるフラメンコを学びたいと思って来たんです。私はバイレ(Baile/踊り手)をやっているけれど、セビージャに長くいたいなと思う理由は、そういうところかな。

 

 

インタビューは後編へ

フラメンコへの熱い想いは続きますが、前編はここまで。

 

後編は、moniさんがセビージャの魅力を語ります。また、セビージャに来て感じた日本との違いや、アンダルシア地方の人のことを、フラメンコと掛け合わせてお送りします。

 

→ きっとセビージャの街に恋をする。フラメンコを学ぶmoniさんインタビュー【後編】

 

moniさん

◆ Twitter → @moni0623

◆ ブログ→ 急がば回れ! | 33歳で会社を辞めてスペインのセビージャで修行中。のブログ

スポンサード リンク
The following two tabs change content below.

浦川たろう

1989年生。スペインを愛すフリーランスライター・ブロガー。2017年11月からスペインワーキングホリデーを使い、1年間のスペイン滞在中(バレンシア在住)。 WEBライティング(SEO、LP等)、取材記事、インタビュー記事執筆が得意。 ▷▷ お問い合わせ先(執筆依頼・PR記事広告依頼・各種ご相談)  ▷▷ スペイン・ワーホリビザ相談・サポートサービス  
この記事をシェアしませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です