前編に引き続き、マドリード在住でスペインの起業に向けて働く、市川典子(イチカワ ノリコ)さんのインタビュー後編をお送り致します。

 

ちなみに、前編はこちらです。

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前編までを整理すると、スペインへの運命を感じ、グラナダへ半年間のスペイン語留学をするも苦難を味わった市川さん。一度はスペインへの想いを離れるも、日本での就職活動中に違和感を感じて、再び、渡西への準備を始めます。2年間の日本での社会人生活から、2度目のスペインへ!

 

そこで待ち受けていたこととは? そして、スペインで働きたい人へ市川さんが伝えたいメッセージとは?

それではどうぞ。

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自らの目で見て納得しないとスペインで働きたい気持ちは諦められない

浦川:スペインは人を惹きつける何かがある国ですよね。仕事が無ければスペインに行けばいい。スペインの方が就職難だというのに、その考えに至れる典子さんは楽天的と言いますか……。もちろん良い意味でです。

しっかりと日本で社会人としてマナーや考えを学んだこと、スペインへの足がかりや資金を集めたことなどは、今思えばやるべきだったのでしょうね。社会人経験無しで海外に行く人も素晴らしいですが、日本で学びスペインへの思いを忘れずに行動して実現しているという事実は、海外で働きたいと思う人にとっては、良い刺激になれると思います。

 

市川さん:そんな素敵に言って頂きありがとうございます! スーパーポジティブ人間なんですよね。(笑) 周りの友人達も色んな経緯を持ってスペインに来てますし、それぞれ良い部分もありますしね。スペイン大好きですが、日本で育って教育を受けたこと、日本人であることを誇りに思います。

 

浦川:スーパーポジティブ人間!(笑) そのポジティブさは海外で生活をする上で大事なことだと思います。様々な苦難を乗り越えてきたのは、その性格が欠かせません。

 

市川さん:そうですね。前向きに考えたり「しょうがないか」って諦めたり、海外で暮らすと日本では起こり得ない事が起こるので、寛容にならないとですね。

 

浦川:2回目の渡西は学生ビザを使ったのでしょうか? 実際に2回目のスペインに来てみて、苦労や楽しさの経験はどのようなものがありましたか?

 

市川さん2回目は学生ビザで学生しながら、インターンシップを経験しました。 その頃にはある程度スペイン語は分かっていましたが、初日から結構、上のクラスだったので授業について行くのが大変でした。インターンもビジネスとしてのスペイン語なので、普段とは使う単語も違うので刺激的でしたね。

 

学校はすごくアットホームで基本クラスが違っても、みんなを知っていて、ホームパーティーしたり、飲みに出掛けたりと頻繁にしてました。初めのスペイン滞在は辛い面が多かったのですが、2回目は楽しい事が多く、前回の辛い経験を2回目のスペイン生活で活かせたのかもしれません。ただ、苦労ではないと思いますが、スペインで仕事を探さないとっていうプレッシャーは、常にどこかにありました。

 

浦川:さすがに2回目となると以前の苦労が、力になったのですね。グラナダの留学は無駄じゃなかった! 2回目の場所は在住されているマドリードでしょうか? それから、なぜマドリードだったのでしょうか?

 

市川さん:2回目の場所はサラマンカです。サラマンカはスペインの中でも綺麗なスペイン語を話すことで有名な学生都市ということと、インターンシップがサラマンカで見つかったのでサラマンカで約1年間、生活をしました。

 

でも、就職はマドリードでしたいと思っていました。不況のスペインで仕事を探すなら、大都市のバルセロナかマドリッドだと考えていましたが、バルセロナはカタラン(カタルーニャ語のこと)という、スペイン語とは違う言葉を使います。もちろん、スペイン語も話してくれますが、仕事をするにはカタランが必要と聞いていたので、それならマドリードかなと。

 

ただ、マドリードは面接に行くまで一度も観光したことはなく、以前は全く興味がない都市でした。(笑) 今は住んでみてマドリードは飽きないですし、暮らしやすくて本当に大好きですけどね。ちなみに、仕事は来てから探しました。実際、スペインで働いてる知り合いもいませんでしたし状況が分からなかったので、とりあえず行ってみて直接探そうって思って。私自身、自分の目で見て納得しないと、スペインで働きたい気持ちは諦められないなって想いもありました。

 

浦川:サラマンカは留学都市として良いと聞きますね。サラマンカとマドリードは割と近いですし、移動も電車で行けますよね。 私もマドリードが好きです。確かに飽きないですし、人と人の距離が近くて親しみやすいなと感じました。ちなみに、インターンありの留学ということで、合っていますでしょうか?

 

市川さん:はい。インターンありの留学です。 私の場合は、インターンシップを探してて見つけたら授業も付いていたっていう感じです。今はホテルのインターンをしながら、スペイン語を学べたりとかもあるみたいですし、探せばまだ色々とあるのかなと思います。

 

浦川:私もスペイン留学を調べていた時があり、確かにビジネスインターンありの留学がありますね。その後に起業をしようと思った経緯なのですが、学生ビザが関係していますか?

 

市川さん:そうですね。ビザは起業のひとつのきっかけですね。私の場合は既にスペインに住んでるので、起業ビザが通れば2年間起業に向けて自由に活動出来ますし、成果が出れば、その後の5年間の居住許可も下ります。ただ、スペイン政府に認められてスペイン経済にプラスになるように事業計画を立てなければいけないので、どうやって証明していくのかが難しいところです。

 

ですが、スペインで起業することに意味があると思うので、諦めず今は自分のできるものを一つずつ丁寧に、ゆっくりやっていければと思っています。ビザはもちろんひとつのきっかけで、元々、スペインの良さをもっと知ってもらいたいと思っていました。自分の力で好きな事をして生きていきたいと思っていたので、様々な気持ちが混ざり、起業しようという考えにたどり着きました。

 

起業という考えにたどり着いたのも、スペインでビジネススクールに通ってる方にお話聞いて頂いて、その時に「起業ビザがあるよ」って言われて調べ始めました。本当に周りの方々の素敵なアドバイスを元に、「あっ!いいかも!」って思って動くのが本当に多いです。(笑)

 

 

きっかけを作れたら嬉しいし、大好きなスペインに何か少しでも貢献出来たら

浦川:スペイン起業ビザは「スペインに住む」という時に、有効な手段ですよね。手続きの遅さなど大変な部分はあると思いますが、根気よく頑張ってほしいです。

 

市川さん:これから、まだまだ時間はかかるかもしれませんが、そのようなお言葉をかけて頂けると励みになります。ありがとうございます! しっかりしたタイプではないので、日本でもスペインでも本当に周りの方々に恵まれて、素敵なアドバイスをくれる方々と過ごせるのは幸運だなと思います。

 

浦川:日本にいたら分からない部分を明確にするという意味でも、現地にいる周りに人達の教えで動くことは大切ですよね。実際に経験されている方からのアドバイスほど、有効なものはないですからね。ちなみに、どのような職種、もしくは業界で起業される予定なのでしょうか?

 

市川さん:一応、職種としては「アパレル」になるのかなと思っています。今もアパレル業で働いていまして、販売や買い付けをしています。その中でスペインの革の良さに気付いたのと、スペインブランドのカラフルさや可愛さに惹かれています、この知識と経験を活かして、スペイン産の商品やスペインブランドを日本向けに販売して行く予定です。

 

ただ単に商品を販売するのではなく、スペインの良さを伝えたいし、生産者の想い、革の良さ、私がどこに惹かれたのかなどを伝えたいです。それを伝えられるイベント、また海外生活したい方や起業したい方向けのイベントや支援も、同じ気持ちで起業や起業準備している方々と進めています。スペインの商品を通じてスペインファンを増やし、海外に興味を持ってもらう活動をするという方向で、今は考えています。

 

浦川:日本でやっていたアパレルの仕事を上手く取り入れているのですね。取引先が日本だということもあり、より一層、日本とスペインの架け橋にもなれる人だと感じています。

 

市川さん:振り返って、ずっとアパレルで仕事してきた事が活かせていてるのは、嬉しいですね。そして、こうやって日本の方々と繋がれて生の声を聞けるのは、なかなか無い機会なのでブログを始めてよかったです。私のブログも誰かの参考になればと思うので続けていきたいと思います! たろうさんともこうやってお話し出来て、インタビューなんてしてもらえて、本当嬉しいです。

 

インスタグラムやブログを始めたことで知り合った方々が、私の写真や記事を見て、「スペインに特に興味がなかったけど興味が湧きました」というコメントや、「スペイン行ってみたくなりました!」など言っていただけて。それがとても嬉しくて。とにかくスペイン大好きなので、そのきっかけを作れたら嬉しいですし、大好きなスペインに何か少しでも貢献出来たらいいなと思っています。

 

浦川:SNSで繋がることで起こる体験、今がまさにそうですよね。嬉しいメッセージが良いモチベーションに繋がるのは、よく分かるのでブログは、まだまだ続けてほしいと思っています。

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ところで、事業の中に「革」という言葉が出ました。スペインは「革」が良いというイメージは一般的にはないかもしれません。その部分を教えていただけますか? それからなぜ「革製品」を選んだのかも気になります。

 

市川さん:そうですよね、日本だと革はイタリアのイメージでしょうか。というよりも、あまり革に馴染みがないと思うんです。私自身、日本にいた頃、アパレルで仕事してても私が履いてた靴や持ってたバッグが、革なのか合成皮革なのか分かりませんでしたし、その考えもありませんでした。

 

でも、スペインってLOEWE(ロエベ)や靴のカンペールなど革製品は有名ですし、加工技術が高いんですよ。柔らかい革を使ってますし臭いも無くて。革製品は長持ちしますし、壊れてもお手入れすれば長く使えます。昔はすぐにバッグや靴を買い換えていましたが、今は上質な革製品を長く大切にしていきたいですね。

 

ちなみに、革の靴は本当に良いんですよ。柔らかくて足に馴染みますし、革って呼吸をするので夏は涼しく蒸れず、冬は暖かく冷えにもいいです。そして、長く履いても臭いもほとんど感じないと、良い事だらけなんです。今の職場で靴を担当しますけど、「私の説明を聞いて試すだけ!」って履いたお客様がパッて笑顔になって、「こんなに良いの知らなかった!お姉さん信じて買います!」など言われると本当に嬉しくて。

 

スペインって、こんなに素敵なものがあるのに、世界に出て行こうとしないんですよね。彼らのライフスタイルもあるので忙しくて収入を得るより、今の方がいいやって思うのかもしれませんが、上手く交渉して、彼らのライフスタイルを崩さずに素敵なスペインの商品をみなさんに知って頂き、スペインの事好きになって頂きたいです。

あ。すみません。革について語ると力が入っちゃいます。(笑)

 

浦川:(笑)気にしないでください。革のことを熱心に聞くことがないので、大変、興味深いです! お話を聞いて、革製品が何なのかを考えたことありませんでした。改めて考えると深いですよね。「本当に良いものを買う」とはを、考えさせられます。消費する体験が多い現代に、少しずつ見つめ直されている本当に良いものを選ぶというのは、これから大切になる要素だと思うので、起業に期待してしまいます。

 

市川さん:どうして革が良いのかということや、一つの物を長く使う考えも伝えていけたらいいですね。全く革の良さがわからなかった私が、こんなに好きになって本当に良いと実感し、日々、革製品に触れて幸せな気分になるのでそれを広められたらいいなと思います。

 

浦川:私も販売業の経験が長かったので、一人一人のお客様を相手にすることの大切さや、接客の重要性が分かります。 日本人の細やかな気配りを、少しでもスペイン人に反映できたら良いですね。

 

市川さん:そうですね。日本人の相手を思いやる気持ちや勤勉さ、それも伝えていきたいですね。

 

ちょっとでも何かしたいと思ったことの積み重ねが大きな一歩になる

浦川:話は変わってスペインの生活についてですが、スペインに来て良かった点と困った点を教えてください。スペインに住みたいと思う人の参考になるものがあればと思っています。

 

市川さん:まず良い点ですが、スペイン人やスペインという国に対しての理解が深まった事ですね。やはり、全然違う人種なんですよ。日本の常識はここでは通用しないですし、その違いを受け入れられず当初は怒ったりイライラする事も多かったです。でも、住んでみてそれを含めてスペインが好きになりましたし、まず来てみて、スペインの生活を知ること、スペイン人と暮らすということを経験するのは、とても大切だと思います。

 

浦川:まず、来てみて生活をする・暮らすという経験。確かにそれは大きいですよね。本当にそうだなと気づきました。

 

市川さん:困った点は「食」ですかね。スペイン料理も美味しいですけど、日本のお寿司や焼き肉など、とても恋しいです。たまに食べますが、日本の値段よりもかなり高額なんです。それから、スイーツが全く口に合いません。(笑)  甘いものが大好きな私としてはかなり辛いので、食に対する覚悟はした方がいいのかなと思います。

※ 個人差あり

 

浦川:スペインの食を食べ過ぎると日本食が恋しくなるのは、スペインも一緒なんですね。それから、スイーツが口合わないのは思っていませんでした。女性が好むスイーツですから、確かに辛いことですね。

 

市川さん:住んでみて合う・合わないもあると思いますしね。 個人的な意見ですが、スイーツにもスペイン人の性格が出てて、なんか適当な味だなって思ってしまいます。(笑)

 

家族や友人に会えないのは寂しいですが、今はSNSが発達してますし、写真も見ることが出来て連絡も取りやすいので、その辺りは、個人的にはあまり困ってはいないかなと思います。先日も友人が遊びに来てくれたのですが、2年以上会っていなかったのにFacebookやLINEで連絡取ったり、写真を見れてたので「会ってない感じがしないね」なんて話していました。

 

浦川:家族や友人とのやりとり面も確かに不安な面ってありますが、SNSやテクノロジーの発達で今では容易ですよね。海外に拠点を移る前では、重要なことです。

現在、マドリード在住ですが、他にも数都市を旅行に行ったり、留学に行ったりしている印象があります。また、今まで見てきた中で、お勧めしたいスペインの街などはありますか?

 

市川さん:そうですね……。オススメの都市はたくさんあるのですが、個人的にはスペインってたくさんお祭りあるので、いらっしゃる時期にお祭りがあれば、合わせて色んな都市行ってみるのが良いかなって思います。

 

先日も友人が来た時に、ちょうどバレンシアで火祭りやってたので行ったのですが、本当に楽しくて。私自身、バレンシアの火祭りの知識は無かったですが、話題になった政治家や有名人、事件を風刺した巨大な人形を作って燃やすということで、「最近誰が有名なのかな」「何がスペインで起きたのかな」と考えたり、話を聞いたりすることがありました。そのおかげで、スペインに対する知識も増えて、政治はあまり興味がなかったのですが、もっと知りたいという、きっかけを与えてくれました。

 

以前も友人達と日程合わせて、イビサ島の泡パーティーバレンシアのトマト祭りコルドバのパティオ祭りパンプローナの牛追い祭りなど行きました。そこでも観光もしながら。「ちょっとクレイジーなものもあるけど、なんでこのお祭りやるのかな?」「これにはどんな意味があるんだろう?」と考え、その都市に興味が湧き、理解も深まりました。

 

さらに土地それぞれの郷土料理もあって楽しめます。お祭り大好きなので、制覇したいなと思ってます。(笑) ですので、オススメしたい街はたくさんありますが、その時期に何のお祭りがあるのか調べて、ご興味あれば行かれるのをオススメしたいなと思います。

 

浦川:ほう! お祭りなどのイベントに合わせていくアイデアは、確かに良いですね。体験してわかることで、もっと好きになるのは良いですね。そのスタイルを聞いて真似をします。

 

市川さん「体験型観光」は楽しいと思いますし、たろうさんもスペインで住み始めたら、是非やってみて下さいね。

 

浦川:最後にですが、スペインに行きたい人や、スペインで活動したいという人達に何かアドバイスやメッセージがあればお伺いしたいです。

 

市川さん:やりたいことがあるならまずはやってみて欲しいと思うので、スペインで生活したいと思ったらしてみる。すぐに出来なくても調べてみたり、話を聞いてみたり旅行してみたり、具体的にスペインで生活しているのを想像してみる。他の事でもやりたいって思ったらやってみる。

 

何かしたくても、何がしたいか分からない方も多くいる中で、やりたい事があるってとても素敵なことだと思うんです。だから、その気持ちを大事にして、自分に素直になって、自分を信じてやってみるのが大切だと思います。一歩踏み出すと見える景色も変わりますし、またそこで新たな出会いや気付きもあります。大きな一歩ではなくても、ちょっとでも何かしたいと思ったことをして、その積み重ねが大きな一歩になるのかなと思っています。

 

私も本当にスペイン大好きなので、スペインに少しでも興味があれば、遊びに来て欲しいですね。スペインでお待ちしています!

 

浦川:素敵な言葉と刺激的な言葉に思わず、心を揺さぶられました。本当に素晴らしいです。そして、この熱い想いが記事を見ている人に伝わればと思います。一歩の勇気、本当に大事ですよね。私も頑張らないといけないと、身の引き締まる思いです。

 

市川さん:私がやってるのは、大したことではないですし、まだまだ発展途中の私が偉そうに話してしまいましたが、お話しさせて頂く機会を頂き、非常に嬉しく思います。少しでもお役に立てたら嬉しいです。ありがとうございました。

 

浦川:こちらこそ、本当にありがとうございます。長期間でのインタビューに応えていただきまして感謝です。これからの活躍を期待しております!

 

 

さいごに

前編と後編に分かれてお送りしました。読んでいてたくさんの刺激をいただけたインタビューだったと思います。

 

特に「やりたいことがあるって、とても素敵だと思うんです。だから、その気持ちを大事にして、自分に素直になって、自分を信じてやってみるのが大切」という言葉に共感しました。決して良いことづくめではない海外生活で、自分の信念を曲げずに進むことの重要性を、大事にしたいです。

※ 掲載している写真は、全て市川さんの提供と許可をいただいております

 

市川 典子(いちかわ のりこ)さん

ブログ: NORIPEQUE

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浦川たろう

1989年生。スペインを愛すフリーランスライター・ブロガー。2017年11月からスペインワーキングホリデーを使い、1年間のスペイン滞在中(バレンシア在住)。 WEBライティング(SEO、LP等)、取材記事、インタビュー記事執筆が得意。 ▷▷ お問い合わせ先(執筆依頼・PR記事広告依頼・各種ご相談)  ▷▷ スペイン・ワーホリビザ相談・サポートサービス  
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